2016年09月25日

『模倣犯』物語を壊すこと

 以下の文章では、ドラマ9月21・22日に放映された『模倣犯』の内容・結末に触れています。ご了承ください。


 原作を読んでいないので、まったくのドラマの感想。
 これは「物語についての考察」という面を持っている。現実に決して満足してはいない人物が、物語をつくり出す。そしてそれをできるだけ多くの人に見せたいと思う。衝撃的な話であるほうが注目を集めやすい。
 犯人の発想は、そんなところだろう。もちろんそれまでの生育歴が影響したことは考えられる。しかし犯人の一番の希望は「自分のつくった物語に多くの人が注目してくれること」だったらしい。
 そんな犯人には初めから罪悪感はない。後悔もない。罰されるべきだとも思っていない。自分のつくり出した物語は面白いでしょう? と言っているだけだ。
 そんな時、犯人を打ちのめすのは「あなたのつくり出した物語は、たいしたものじゃない。いや、それはあなたのつくり出したものですらない」と断言することだろう。
 まさに、そういう方法で犯人をやり込める話だった。

 もうひとつ、主人公にとって、これは自分の女性らしさを回復させる、あるいは回復したと見せる結末になっていた。話が進行するにつれて、夫は、家庭よりも仕事を優先し、子どもをつくらないできた主人公に愛想をつかす。
 その夫は、主人公がひとりで弱い立場にいて、助けを求めていると知った時に、彼女のもとへ急いで駆けつける。
 女性らしさ、というのも難しい。もし女性らしさの現れが男性に頼ることだとするなら、兄が犯人と報道されて打ちのめされ、真犯人に優しくされて幸せ、と言う由美子のような道をたどることにもなりそうだ。
 主人公は、初めはたぶん野心から、途中からは責任を感じて、事件を追跡した。その途中で離れていった夫。しかし最後に主人公は夫を頼って、夫を取り戻した。
 もしかすると、事件を追うことを通じて、どのように人を頼るべきかを学んでいったのかもしれないが……  

Posted by mc1479 at 12:53Comments(0)TrackBack(0)
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