2014年06月20日

『チョコレート ドーナツ』

 以下の文章では、映画『チョコレート ドーナツ』の内容・結末に触れています。ご了承ください。

 ミニシアター系で公開される映画としてはヒットしているのだろうか。私が見たときの伏見ミリオン座は満席だった。でも「感動」を求めて見に来たのだとしたら「これは、ちょっと違う」という感想を抱いて帰るのではないかと思う。

 1970年代。同じアパートに住むジャンキーの母親から構ってもらえないダウン症の少年を、ゲイのカップルが引き取ろうとする。母親が刑務所にいる間は認められ、適した学校へ行くことで少年も明るくなる。だが、彼らがこのままずっと少年を引き取りたいと思うと、世間も裁判所も邪魔をする……

 何しろ1970年代だ。同性愛への反感は強い。彼らに引き取らせるくらいなら、と取引して母親を早く出所させたりする。同性愛より薬物中毒のほうがまし、というわけだ。いや、薬物中毒だろうと何だろうと「実の母親」が出てくれば、勝ち目はないらしい。
 しかし、少年は母親の住まいを「家じゃない」と言い、母親が男と一緒にいる間に外をさまよい、結局死ぬ。
 つまり全然ハッピーエンディングじゃないのだ。裁判は負けるし、血のつながらない男ばかりの家庭は壊されるし、その後状況が変わって今ではこういう家族もいますよ、という字幕説明すらない。そういう映画でも見せきることができるのはすごいと思ったが、何かもやもやするのも確か。主演のアラン・カミングには代表作ができた感じ。  

Posted by mc1479 at 15:39Comments(0)TrackBack(0)
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