2015年09月30日

本『島田荘司全集Ⅱ』1

 以下の文章では、南雲堂の『島田荘司全集Ⅱ』の内容に触れています。ご了承ください。

 島田荘司さんの「御手洗潔シリーズ」を読んでから他の作品も読み始めて、今回図書館から借りてきたのは、これ。1984年に発表された4作品が入っている。
・寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁
・出雲伝説7/8の殺人
 この2作品は、どちらも列車を使っている。前者は「その時間は私は列車に乗っていた」というアリバイを作って犯行に及ぼうとするが、それがうまく運ばず、後者は複数の列車、その停車時間を利用して切断した死体の受け渡しや遺棄が行われる。どちらも時刻表を詳細に見ないと組み立てられない話だが、寝台車そのものがなくなれば、話は成り立たなくなる。寝台車の個室でなければ犯罪は行えないからだ。「はやぶさ」の場合はアリバイ作りに利用されただけという感じだが、「出雲伝説」の場合は「八俣の大蛇」伝説を踏まえている。犯人はそれを匂わせるために、切断した遺体を7箇所に送り、首だけは自分で埋めにいく。7つのローカル線で運ばれる死体。
 しかしこれも現在は不可能だろう。倉吉線が廃線になったからだ。きっと他にも私の知らない、今は使われなくなった駅や廃線になったところもあるに違いない。
 列車で旅する人がそれなりにいて、長い区間を走っていく寝台車があったからこそ、こういうミステリーも成り立ったのだ。

 ここで、いったん切ります。


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