2015年01月14日

「オリエント急行殺人事件」(TV)感想①

 以下の文章では、テレビドラマ「オリエント急行殺人事件」の内容に触れています。ご了承ください。 

 アガサ・クリスティの有名な原作をもとに、舞台を日本に移して三谷幸喜が脚本を書いたドラマ。しかも第一夜がいわば「実行編」なら、第二夜は、犯人側から見た事件の物語だという。もちろん、第一夜の列車の内装や衣装の華麗さも見たいと思ったが、お話的には第二夜を楽しみにしていた。三谷作品は、時間・空間の限定されたものが面白いので、列車に閉じ込められた人々の話というのは、ぴったりだという気がした。
 私は、玉木宏くんのファンなので、もちろん彼の伯爵に対する期待も大きかった。その点だけで言えば、時間的にはさほど多く出てきてくれなかったのだが、せっかく長時間見たので、ドラマ全体の感想を書いておこう。
 
 第一夜は、かつての映画で誰が演じた役をこのドラマでは誰がやっているのかを楽しんだ人も多いと思う。登場人物名も、ポワロ=勝呂は解説がないと少しわかりにくいが、あとの人物はわりと単純にもじっている。豪華な場面を楽しめるドラマでもある。ただ、原作ではさまざまな国籍の人が乗り合わせるというのも面白いわけだが、日本を舞台に、すべて日本人が演じるという時点で、そういう面白みは消えているのは仕方がない。
 第二夜は、準備にあたる話の中で、どれくらい予想外のことが起こったりするのかと思ったが、発想の始まり・順に誰を引き込んでいくのかが納得のいくように描かれる。面白いのは最初はすべて女性主導だということ。そこへ、実行できる力の持ち主として、男性が迎えられていく。
 悪人・藤堂修に、自分たちの正体がバレたかとはらはらするような場面は、①能登大佐と馬場舞子が横浜新聞の記者と偽って乗り込む場面と、②藤堂の秘書になっている幕内が「裏切り者がいる」と藤堂が言うのを聞いて、自分のことかと怯える場面だろう。①の場面は、新聞社に確認してバレたかと思ったのに、二人が無事に帰れるのが不思議。あとの展開から考えると、二人を見かけた幕内が機転を利かせてごまかしたのかと思うが、肝心の殺人実行の時の幕内の緊張ぶりを見ていると、そこまですばやく機転の利いた行動ができるのかな、と疑問に思う。②の場面は、裏切り者は執事だとわかって、幕内はホッとする。幕内にはもう一つ、藤堂に仕えるのが嫌になって退職しようとするが止められる、という場面もあるので、幕内という役は見せ場に恵まれている。ちなみに、この時、辞めようとする幕内を止めるために、大奥様が、死んだ娘の持ち物だった新訳聖書を幕内に渡すのだが、聖書が復讐の計画を推し進めるために用いられるというのは、キリスト教を信じる人から見れば、どう見えるのだろうとちょっと気になる。(いったん、ここで切ります)


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