2014年04月09日

『大統領の料理人』

 久しぶりに「おはよう! ミリオン座」で見た。「おはよう! ミリオン座」は少し前にミリオン座で上映した映画の再映。平日の朝1回だが、1000円でコーヒー一杯が付く。この4月からも値上がりしなかったのが嬉しい。
 以下の文章では、映画『大統領の料理人』の内容・結末に触れています。ご了承ください。

 主演はカトリーヌ・フロ。この人、ものすごい美人というのではないけれど「真面目に生きている普通の人」をきちんと演じることができるのが強みだと思う。
 今回は、大統領が友人や親戚を呼んだりして食べる昼食の担当を任される女性料理人。メインの大きな厨房は別にあって、そこは全く男の職場なのだが、彼女には「おふくろの味を作ってほしい」と頼まれる。当然、苦労もあるが、助手はなかなかの働き者で、大統領も彼女の「家庭料理」を気に入る。
 順調なようだが、エリゼ宮にも時代の波は押し寄せる。それは、低カロリー指向と経費削減。低カロリー・低脂肪指向は大統領の身体(健康)を考えての医者からの指導なので仕方がないのだが、それまでの彼女の献立を見ていると肉料理やパイが得意なようだから、つらいだろう。そして最高の材料を使おうとしてきた彼女には、経費削減はもっとつらい。
 結局、彼女は去ることになるのだが、実はこの映画、南極の基地で料理人として働く彼女の姿の合い間に、かつて大統領の料理人として働いていた頃の場面が入るという構成になっている。
 はじめのうちはその構成がちょっと煩わしくて、文字通り「大統領の料理人」としての彼女だけを見せてくれてもいいのに、と思っていた。けれども南極を去る日に、ここで働いたのは給料がいいから、そのお金をもとにニュージーランドでトリュフの栽培をするつもり、という彼女の決意を聞いた時、なるほど大統領の料理人として働いたことも、南極料理人として働いたのと同じく、ひとつの過程で、でも彼女はそれぞれの過程を精一杯に工夫して楽しんできたのだ、と気づく。
 そして彼女が、自分を呼ぶ時は名前で呼んで、と要望していたことも思い出す。オルタンスという名前はラテン語のオルテュス、つまり「庭」に由来するものだから、と。そんな彼女がトリュフ栽培のできる「庭」に帰っていくのは当然のことだったのだろう。


この記事へのトラックバックURL

 

QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。 解除は→こちら
現在の読者数 0人
プロフィール
mc1479