2014年01月17日

『マイヤーリング』

 以下の文章では、映画『マイヤーリング』の内容に触れています。ご了承ください。

 映画館で上映されたが、テレビ作品である。オードリー・ヘプバーン主演、1957年にNBCで一度放映されたきり、一週間限定公開!というので見に行った。
 マイヤーリング(地名)と聞いただけで、ぴんとくる人もいるのかもしれない。オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子ルドルフと男爵家の令嬢マリーは愛し合うが…というところまで見て、「ああ、あの話ね」と思い当たった。『うたかたの恋』というタイトルで、カトリーヌ・ドヌーヴとオマー・シャリフが演じていたもの(それより前の映画もあったらしい)。実話に基づく物語だ。
 ルドルフの母エリザベートは後に暗殺されるし、エリザベートのいとこは、かの有名なルードウィヒだし、このあたりの人々の話は有名なのだ。
 この作品では、ルドルフ(メル・ファーラー)のいらいら感や、けっこう女性とも遊んでいたらしい描写はされているが、対するマリーはいかにも純情な少女。
 舞踏会に現れたマリーを見て「あれが皇太子の…」と噂する年配の女性たちは辛辣に「美しいわ」「17歳よ。17歳なら誰だって美しいわ」と言うのだが、その内容までは聞こえていないマリーは「年取った人ってイヤね」と呟く。このマリーのセリフは、ルドルフが彼女を道連れにするきっかけにもなったような気がする。
 今、この作品を見るのはもちろん、アンティークを見るような目になる。画面はまぁまぁだが、音声が割れる。3幕に分かれていて、それぞれの最初に「オードリー・ヘプバーン、メル・ファーラー主演、アナトール・リトバク監督『マイヤーリング』第〇幕」とナレーションが入る。テレビ放映された時には、幕間にCMが入っていたのだろうか。そういうのも「味」だと思い、楽しむ気分で見るのなら、それでいい。
 さて、マイヤーリングは二人の死んだ場所である。真相は不明だが、ここではルドルフが眠っているマリーを撃ち、自分を撃つ。翌朝ちゃんと目覚めるつもりで眠りに就いたマリーには残酷なことだが、当時のオードリーを見て、「少女のままで死なせたい」と作り手たちが思ったのだとしたら、わからなくもない。それくらい、彼女は美しく撮られていた。


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