2013年11月17日

『愛と誠』(2012)

 以下の文章では、映画『愛と誠』の内容に触れています。ご了承ください。

 原作は、かつてかなり有名だったマンガ。お嬢様・愛と不良・誠の物語――と言いたいところだけど、2012年版のこの映画は、独特。
 誠がいよいよケンカを始めるか、という場面でいきなり歌いだすのだ。以後、ミュージカル調シーンは主要登場人物1人に1回ずつ公平に割り当てられ、『あのすばらしい愛をもう一度』『夢は夜開く』『空に太陽のあるかぎり』『また会う日まで』といったかつてのヒット曲が、歌われる。
 ミュージカル映画の嫌いな人は、よく「突然歌いだすなんて、バカバカしくてあり得ない」と言うわけだが、ミュージカル映画好きにとってはそのバカバカしくてあり得ないところこそが面白いのであって、そういう点ではこの映画はけっこう面白い。ただ、本当に歌の上手な人が歌い上げているわけではないので、「3番まで歌ってくれなくてもいいんだけど…」という気分になることも確か。
 映画公開時には、純愛ものという宣伝の仕方だったと思うのだが、トンデモミュージカル映画、と売ったほうがよかったのではないか?
 と言っても、もしそのように宣伝されていたら自分は映画館で見ただろうか、というと話は別。誠を演じる妻夫木聡が30歳過ぎで、愛を演じる武井咲が18歳、というのにどうしても違和感があったから。作り手側の「男はいつまでもバカをやっててもいいけれど、女は若くなくちゃ」という意識がほの見えるような気がして。
 いっそ、男も女も30歳以上の人ばかりが「昭和を懐かしんで作る」劇中劇としての『愛と誠』だったら、封切時に「見てみようかな」と思ったかもしれないけれど…そんなの絶対ヒットしませんね。


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