2013年10月20日

本『旅屋おかえり』感想

 以下の文章では『旅屋おかえり』の内容に触れています。ご了承ください。

 ひとつの小説なのだが、かっきり2部に分かれているような構成。第一部は唯一のレギュラー番組(『あけぼのテレビ』の中の『ちょい旅』というコーナー)が無くなって「旅をしてレポする売れないタレント」からいっそ「旅屋」になろう、とそういう仕事を始める話。
 第二部は「旅屋」にもそろそろ慣れてきた時に持ち込まれた『あけぼのテレビ』スポンサー会社の会長さんに依頼された旅をする話。そう、「旅屋」というのは、何かの理由で旅ができない人に代わって旅をする仕事なのだ。旅をしてきましたよ、という証拠は旅先で撮ってきたDVDだったり、依頼人に頼まれたもの(これを持って来て下さい)だったりする。
 第一部はALSという筋肉が動かせなくなっていく難病の娘に代わって、という母からの依頼を受けての話。
 第二部は、長い間会っていない姪に当たる女性を訪ねてほしいという依頼。
 もちろん、それぞれに旅先での人との出会い、おかえり(というのがニックネ-ム、芸名は丘えりか)自身の成長などもからめて、気持ちよくまとめている。
 場面的にはもう少し詳しく描いてほしいな、と思うところもある(手漉き和紙を作る場面とか)。でも、このテンポの良さと最終的には根っからの悪人はいない、というところがこの作品の良さだと言われたら、その通りだと思う。旅気分を味わえるお得感もあるかも。


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