2013年05月21日

DVD『平清盛 総集編』

『平清盛 総集編』はテレビ放映された時に見たし、DVDを買ったのは特典映像のインタビューやオールアップ集が目当てなのだけれど、毎週放映されていた大河ドラマとは別の作品として、この総集編も気に入っている。
 もちろん50回のドラマを3回にまとめるのだから消えてしまった役もあり、少し出てきただけでその後どうなったかわからない人物も増えた。しかし、清盛を中心にまとめるという方針なので、わかりやすい。
 清盛を中心にしてまとめる、ということは武士たちを中心にしてまとめる、ということだ。保元の乱に至るまでにかなり描かれた貴族たちの争いは簡単に済まされる。朝廷の登場人物にも個性の強いキャラクターはたくさんいたから、そのファンにとっては総集編は物足りないだろうが、源平の対立ははっきり浮かび上がる。

 これだけ短くなると、清盛が忠盛の実子ではないのに平氏を背負っていくことについてあれこれ悩んでいたことはすっ飛ばされる。連続ドラマでは清盛は延々と「自分は何者なのか・何をすべきなのか」について悩んでいて私はそれに共感しにくかった。生きることさえ大変だった時代、忠盛の息子として育てられたのなら生きていることに感謝して、さっさとのし上がることを考えればいいではないか。そういう人物の方が面白いのに、と思っていた。とりあえず総集編だとあまり長いこと悩んでいないので見やすい。
 また、人の死んでいく場面が直接描かれるのが減ったのも私には見やすくなった理由だ。長い時間の流れを描くのだから多くの人が死んでいくのは当然なのだが、毎回のように誰かの死の場面を見せられ嘆きを見続けるのは大変だ。総集編くらいにカットすると、実際の死の場面が映し出されるのは合わせて数名になり、このほうが見ていて気分的に楽でもある。
 そして、バランス。総集編は「第一部 武士の世」「第二部 保元・平治の乱」「第三部 海の都」という構成になっている。おおざっぱに言って第一部が連続ドラマの第1回~第16回、第二部が第17回~第28回、大三部が第29回~第50回に当たる。つまり第29回~第50回はずいぶんコンパクトにまとめられてしまったわけだ。でもこれで正解だと思う。連続ドラマ時には伊豆へ流された源頼朝が再び立ち上がるまでが長くてイライラした。それがスピーディになった。

 だいたい源氏との戦いに勝った平氏がのし上がっていく場面はあまり心地よいものではない。それは財力もあり人員にも恵まれている平氏が勝つのは当然ではないかと思ってしまうから。それゆえのし上がったかと思ったら滅びていくという過程がスピーディに展開される方が私には好みなのだ。

 さらに、総集編ならではの良さはナレーションが井上あさひアナウンサーであること。聞きやすい。連続ドラマ時は源頼朝役の岡田将生だったわけだが、どうも力の入り過ぎたようなところがあって好きにはなれなかった(彼のナレーションは映画の『アントキノイノチ』や『ボクの初恋を君に捧ぐ』の時のほうが上手だったと思う)。
 さらに作り手側も力を注いだであろう清盛・義朝の一騎打ちシーンに連続ドラマ時とは別アングルから撮った映像が入っているのもオタク心を刺激する(いっそのことマルチアングル仕様にしてくれればもっと良かったのに)。
 もちろん連続時の方が良かったと思うこともある(音楽の使い方など)。しかしコンパクトにまとまった源平3代記としてこれはこれで面白い。


この記事へのトラックバックURL

 

QRコード
QRCODE
アクセスカウンタ
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。 解除は→こちら
現在の読者数 0人
プロフィール
mc1479