2012年06月05日

「11・25 自決の日」三島を描いた映画

 三島由紀夫を描いた映画としては、もうずいぶん前にアメリカのポール・シュレイダーが監督した「MISHIMA]というのがあった。あれは三島の最後の1日と三島の作品をからめて描いていた。だからあそこで描かれた三島の死は、彼自身の作品のようにも、作品を完結させるためのものにも見えた。
 今回の若松孝二監督作品は、構成に三島の作品をまったくからめない。作品名すら、ほとんど出てこない。作家ではなく、ある思想を実現しようとする行動家。その「実現しようとするもの」には感情移入しにくいし、途中からは三島本人も楯の会の若者も、実現は不可能と知りながら、思想表明のために自決することこそを目的としていったように見える。もちろん最後まで三島は熱弁をふるうのだが。
 井浦新が三島を演じていることが、この映画の雰囲気を決定づけたようにも思われる。彼が演じると不思議に幸薄い理想主義者のような雰囲気をまとうのだ。その雰囲気がこの映画にとってプラスになっているのかどうか、判断が難しい。ただし、最後まで三島という人物を押しつけがましくなく見せきっているのは確かだ。


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