2016年08月09日

『切腹』

 以下の文章では、1962年の映画『切腹』の内容・結末に触れています。ご了承ください。

 1962年の白黒映画だが、構成が面白かった。
 いかにも貧しげな浪人が、武家屋敷にやってきて、ここで切腹させてほしいと言う。最近では食い詰めた武士がそう言って、実際にここで死なれたら困ると考える主人からいくばくかの金をせしめることがあるらしい。三ヶ月前にもそう言ってきた男がいて、金目当てだろうと思い、あえて切腹をさせてやりましたと思い出す。その時積極的に切腹を推し進めた三人は、きょうは休んでいる。
 準備が整えられたところで、男の口から、三ヶ月前に切腹したのは自分の娘の婿だと明かされる。幼い子が病いで、なんとか金が欲しかったのだ。その後、娘もその子も亡くなり、自分は死ぬばかりだ。ただし、婿が「一両日待ってくれ」と言ったのに強引に切腹させた三人の髷は切り落とした。男は存分に戦ったあと、自分の腹に刀を突き立てる。
 今の感覚からすると、もうちょっと展開がスピーディなほうがいいな、と思うのだが、切腹や殺陣のシーンがリアル。今の(特にテレビドラマの)殺陣は血の流れないものが多いが、血は噴き出すし、飛び散る。
 好き嫌いはともかくとして、それを受け入れる時代があったのだと思う。


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