2015年04月17日

『マジック・イン・ムーンライト』感想

 以下の文章では、映画『マジック・イン・ムーンライト』の内容・結末に触れています。ご了承ください。

 可愛い話だ。ウディ・アレンの映画にしては、珍しく題名もロマンチック。もちろん、アレンは大ベテランだし、主演のコリン・ファースだってそうなのだが、軽くて楽しいコメディ。

 最近は「現代のニューヨーク」を舞台にすることにはこだわらなくなったアレン。今回の舞台は、1920年代の南フランス。上流の屋敷が舞台だから、男はジャケット、女はドレスかワンピース。画面はとても美しい。
 マジックには必ずタネがある、と超能力など信じない英国人マジシャンのスタンリー。「金持ちの夫人が霊能力者を名乗る女性に騙されているから、彼女がニセ者だと暴いてやってくれないか」という友人の依頼を受け、その屋敷に滞在することに。友人もマジシャンなのだが、「僕には見抜けなかった」と言うのだ。現れた霊能力者ソフィは魅力的な女性。しかもスタンリーのことを次々に言い当てる……
 ロマンティック・コメディの定番というか、彼女を怪しんでいたスタンリーは、どんどんソフィに惹かれていく。彼女には本当に超能力があるのか?
 アレン映画のほとんどがそうであるように、主人公の男性はどこかアレンに似ている。頭が良くて皮肉屋でよくしゃべる。教養のない人には、こうするといい、ああするといい、とあれこれ教えたがる。
 合理的には割り切れない何か――それが恋の魔法、ということになるのだろうけれど、それはいくら毒舌であってもスタンリー役コリン・ファースが魅力的で、ソフィを演じるエマ・ストーンも可愛いから成り立つこと。
 ちょっと『マイ・フェア・レディ』を思わせる要素も取り入れつつ、きれいにまとめている。「夢のような話」と言っても、たとえば『カイロの紫のバラ』に見られたような苦さはほとんどなく、だから可愛い話だと思ったのだ。
 コリン・ファースが50歳を過ぎてから、こんなロマンチックな役をやるとは思わなかった。もっとも、この内容なら、10年くらい前のヒュー・グラントにやってほしかったなぁと思わなくもないけれど。


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