2015年01月20日

『神様はバリにいる』

 以下の文章では、映画『神様はバリにいる』の内容に触れていますご了承ください。

 同じ李闘士男監督の前作『幕末高校生』と構図はよく似ている。
 現代の日本から「別のところ」に来た女性が、ある意味でその「別のところ」を象徴するような男性に出会う。その男性の印象は必ずしも良くはなかったが、やがてその男性に影響されて女性は変わっていく…… 
 もちろん、『幕末高校生』には、タイムスリップという縛りがあった。厳密には守られてはいないのだが、「歴史を変えてはいけない」ということ。だから『幕末高校生』のヒロインは現代の日本に帰ってくるしかないし、歴史に大きな影響を与えることはない。
 でも『神様はバリにいる』のテルちゃんには、また何度もバリに行ける自由がある。それが、この映画の解放感を醸し出しているように思う。
 実在の人物をモデルにした日本人大富豪のアニキは強烈なキャラだが、憎めない。やり方はともかく、バリの人のためになることをしている。だからこそ、テルちゃんもリュウも、アニキに協力しようと思うのだろう。
 もちろん、これはテルちゃんの成長物語でもあり、尾野真千子の表情の変化が過不足なくそれを見せてくれる。
 ただ、李監督の語りは時に親切過ぎて「いちいち回想シーンで見せてくれなくても、わかるのに」という気がする時もあるのは確か。
「バリはいい所」という映画だろうと言われればその印象は強いが、個人でできることをなんとか頑張ろうとする話、というのには抵抗するよりも素直に楽しみたい。


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