2014年09月06日

かぞくのくに

 以下の文章では、映画「かぞくのくに」の内容・結末に触れています。ご了承ください。


 タイトルだけは聞いていて、機会があったら見ようと思っていた。その機会が訪れた(テレビ放映された)。

 総連の重役を務める父は、かつて帰国事業によって、自分の息子・ソンホを北朝鮮へと送り出した。そのソンホが25年ぶりに、脳腫瘍の治療のために3ヶ月という限定で帰ってくる。
 病院での検査ももちろんだが、親族や旧友との再会にも忙しいソンホ。しかし、ソンホには常に同士・ヤンがついて監視している。
 ソンホは妹に「決まった時間に人と会って話を聞くことに興味があるか」と問い、妹は「それって工作員でしょ。絶対に嫌!」と断る。
 病院での検査の結果、治療には半年が必要と告げられ、父はなんとかしようとするが、ソンホにはいきなり帰国命令が下る。
 というようなことが淡々と描かれていくのだが、いったいどういう収束点にするのだろうと考えて見ていた。妹が、父を批判する言葉で終わるのか? それともソンホを見送った家族が押し黙るのか?
 と思っていると、母が意外な活躍をする。息子の分と一緒にヤンにも新しいスーツを用意して、それを着ていくようにと勧めるのだ。そして「ソンホをお願いします」と頭を下げる。理屈ではなく批判でもなく、母の愛で収めるのは巧い。ただし、映画のラストは、スーツケースを持って歩く妹の場面である。妹がどこへ向かうのかまでは示されない。それも象徴的だと思った。


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