2017年10月08日

巨悪は眠らせない 特捜検事の標的

 以下の文章では、ドラマ「巨悪は眠らせない 特捜検事の標的」の内容・結末に触れています。ご了承ください。

 昨年放映された「巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲」に続き、特捜検事・冨永真一が活躍する。昨年の第一作は、冨永が特捜部に配属になるところから始まっていて、宇宙開発と政治のからみを描いた。長年にわたり日本にどう利益をもたらすかを考えてきたグレーな大物政治家を仲代達也が演じたのだが、彼にたどり着くまでが長く、一方宇宙開発に純粋な夢を託す女性研究員も登場するので、人物をさばくのがやや大変かな、という印象があった。
 今回はスケールという点では前作より小さいのかもしれないが、ストレートでわかりやすい。

 今回の「標的」は女性初の総理大臣候補と言われる越村みやび。ここに、今回独特のちょっと微妙な問題がからんでくる。ドラマの中のセリフにもあるが「日本初の女性総理なんざ絶対に許さんという奴」は現実にもきっといるだろう。だから、越村の事件は反対派による罠なのではないかと疑われる。
 また、冨永の上司である特捜部部長の岩下は、はっきりと「日本初の女性総理、実現してほしかった」と言うし、記者の大塚にも期待があったと思う。一般に女性リーダーに対しては、思想信条の違いを越えて女性からの応援はあるだろう。
 そして男性がその女性を訴え、逮捕して取り調べをするのも男性ということになると、どことなく「女性が頭角を現すのを男性が阻止しようとしている」ように見えることも確かだ。
 冨永は、越村が女性である点にはほとんど触れない。実際に目の前にして「華があるというか、受け答えに頭の良さを感じる」と語るが、「女性だから」とか「女性なのに」とは決して言わない。冨永の偉いところだ。
 だからこそ、というべきか、最後に冨永が越村を追い詰めるセリフには少し違和感もあった。
「夫婦としては、どうなのでしょう」
 越村夫妻は、夫婦というより、同志に近かったのでは?
 仲間を置き去りにして、自分だけ去ってしまう同志というのは、同志と言えるでしょうか?」
 そう尋ねたほうが良かったような気もする。「女性だから」と言うことなく越村の能力に敬意を払っていた冨永が最後に出す切り札が「夫婦としては」であることに、少しひっかかった。
 が、それは越村には「ずっと一緒にいるべき人があなたを置いていったのですよ。それでもあなたはその人と二人で見ていた夢に固執するのですか」と聞こえたのだろう。越村のこころは、それで砕けたのだと解釈した。  

Posted by mc1479 at 13:17Comments(0)TrackBack(0)
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