2013年10月11日

映画『アンコール!』を見て

 以下の文章では、映画『アンコール!』の内容・結末に触れています。ご了承ください。

 元気のいい、歌も上手なバネッサ・レッドグレイブが映画半ばで死んでしまう。もちろん、始まった時から体調悪そうというのは見えていて、途中で「再発」という言葉も出てくる。そしてもう積極的な治療法はないので、残りの人生を楽しもうとする。
 けれども夫のテレンス・スタンプの方はそれを受け入れていない。「逝ってほしくない」と言い、実際に彼女が死んだ後は、彼女の分が空いたベッドに眠ることさえしなくなる(ソファで寝ている)。後半の話は、だから彼が再びベッドで眠れるようになるまでの話なのだ。
 妻が亡くなると、息子とはますますうまくいかない。息子は自分のことを(父は)ちっとも認めてくれないと思っており、父がさすがに寂しくなって息子に話しに行った時には、息子にとってタイミングが悪い。
 夫は亡き妻の所属していた合唱団に入り、妻がかつて自分に対してしてくれたように、自分も妻に対する愛の歌を歌うのだが……
 
 もちろん、気持ちよく終わる。彼らの合唱団はコンクールで3位に入賞し、孫娘の励ましも得ることができた。そして男は再び、ベッドで眠れるようになる。
「良い話」と言えばそうなのだが、物足りないと言えば物足りない。面白いのは、妻に先立たれた男が「人生を楽しむ」ことを覚えようと頑張る、という設定だと思うが、それは後半になってから出てくるので、男が「頑張る」決意をしてからは、たいした障害が出てこないからだ。いっそ、最初の場面で妻に死なれた男がその後どうするか、という話だったら乗り越えなければならないことも詳しく描かれていたのかもしれない。でも、それではバネッサ・レッドグレイブの出番がなくなる。となると、やっぱりこの2部構成のような映画になるのかな……  

Posted by mc1479 at 18:59Comments(0)TrackBack(0)
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