2013年08月15日

『THE 有頂天ホテル』

 この映画が大ヒット作であるのは聞いていたし、三谷幸喜脚本・監督の映画であるのも知っていたが、見るのは初めて。
 以下の文章では、この映画の内容に触れています。ご了承ください。

 ひとことで言えば「面白い!」
 もうひとこと足せば「たくさんの俳優さんに見せ場を作って上手にまとめている」
 でも、それ以上何か突っ込んで言いたくなるかというと、それはないかも…という感じ。
 基本的には前向きのラスト、というのは好きだし、正月にふさわしい(映画の舞台になるのは大晦日から新年にかけてのホテル)。どちらかというと男よりも女のほうがしっかりしているのも、まあよろしい。では、もう一度じっくり見たいですか? と問われたら、見るとしたらきっと構成の巧さを確認するためだろうと思う。誰かに夢中になって見るという見方ではない。

 三谷幸喜脚本・監督作品で見たものは『ラヂオの時間』『ザ・マジックアワー』『ステキな金縛り』と、これ(全部TV]放映されたものだがノーカット)。三谷脚本を他の監督が撮ったもので見たのは『笑の大学』。
 こう並べてみると、短時間の内に起こった出来事、という制限のある『ラヂオの時間』と『THE 有頂天ホテル』が面白かったと思う。ラジオドラマを生放送する間、とか、大晦日の2時間、とか時間的制約のあるほうが、いろいろ刈り込まれてよくなるのかもしれない。
 豪華キャストも三谷作品の売りだと思うが、この作品は見ながら「う~ん、この人とこの人が逆だったらどうだろう?」と思ったりもした。たとえばコールガールの篠原涼子と、ホテル客室係の松たか子。逆に、コールガールが松たか子で、客室係が篠原涼子のほうが面白いんじゃないか?と。
 実はこの映画全体のまとめ役とも言うべきホテルの副支配人役の役所広司が、私には一番「この人が最適なのか?」と思われるキャスティングだった。彼が巧い俳優であることに異論はないが、お客様のことを常に考えながら実は見栄っ張り、というこの人物。「見栄っ張り」の部分が最初見えなかったので、元妻に会った途端にホテルの宿泊客を装うという展開が唐突に感じられた。そしてそのウソによって展開される場面も、そこまで笑えるとは思えない。かと言ってじゃあ誰が適役か?と問われるとなかなか思いつかない…難役だとは思うのだが、何か「役所広司の役ではない」という気がしてならない。
 意外な格好で登場して最後までそのままで押し切るオダギリジョーが、役を演じるという点では一番楽しんでいるのかもしれないが、じゃあもし私が彼のファンだったら、このビジュアルを見て楽しいだろうかと考えると疑問。
 ここには「大好き!」と言えるようなキャラは出てこないが、あくまでもストーリーや全体で見せるのがエンタテイメントなのだという考えが作者にはあるのかもしれない。  

Posted by mc1479 at 09:43Comments(0)TrackBack(0)
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