2013年08月05日

『バブルへGO!』

 バブルの時代にタイムマシンで行く話、というのは知っていたので、じゃあ行ってどうするのか、が気になったのと、日本映画のコメディってそもそもどういうものなのかを知りたい思いで、見た。もちろん小難しい話ではない。
 というわけで、以下の文章では映画『バブルへGO!』の内容・結末に触れています。ご了承ください。

 長引く不況に日本経済が破綻すると考えた大蔵省の役人が、偶然発明されたタイムマシンで17年前に行って、「不動産の投機を目的とした銀行への取引融資の規制」を実行させまいとする。映画の公開されたのは2007年、だから17年前は1990年だ。
 1990年に到着した時の変化は、まず音楽やCM,ファッション等で表現される。
 タイムマシンが洗濯機なので小柄な人しか乗れなかったり、どうやらこのタイムマシンは17年前と現在しか行き来できないようだったりするのは、作り話だからまぁ良し。2007年では、同棲していた男の借金に追われている女主人公は、1990年のバカバカしくも賑やかな一夜を経験して「バブルって楽し~い!」と叫ぶ。
 いくらあの時代でも良いことづくしではなかっただろうけれど、作り手が、あの時代を本当に好きなのだろうなというのは、よくわかる。ただ、それを描くのを楽しみすぎて、先にこの時代へやってきた、女主人公の母をあまり一生懸命に探していないように見えたり、大蔵省の中の悪人と戦うドタバタがちょっと長過ぎるんじゃないかと思えたり。
 広末涼子ファンにとっては、彼女のキャバ嬢姿や芸者姿、ダンスまで見られるんだから楽しいだろう。阿部寛を見たい人にも、薬師丸ひろ子を見たい人にも、気を配っている。
 でも全体的にもう少し短めでテンポ良かったらもっといいのに、と思う。そして「無理にバブルを終わらせなかったら、すべてがうまく行った」と言いたげなラストにも「本当か?」と突っ込みたくなる。
 もちろん、奮闘した女主人公が報われることに異論はないのだけれど、それが「キャバ嬢ではなく、本当のお嬢様になる」という結末なのが何となくひっかかる。しょせん、自分の関わる男が変わったから立場が変わっただけじゃないか、とすると、これはアメリカ映画によくある「頑張って自分の力で手に入れる」という話とは似て非なるものなのだ。
 そして、ハッピーエンディングの重要な要素に「家族と暮らすこと」が入っているような描き方がされると、それもまた日本のコメディにとっては重要なポイントなのかもしれないと思う。
 いろいろ頑張っているな、と思いつつ、個々の描写は楽しませてもらいつつ、やっぱりコメディを上手に作るのは難しいことだと感じた。  

Posted by mc1479 at 06:55Comments(0)TrackBack(0)
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