2013年07月08日

ヘルタースケルター

以下の文章では映画『ヘルタースケルター』の内容に触れています。ご了承ください。

 全く話題にもならないのが「ひどい映画」だとすれば、封切時に話題を作り、見た人が何か文句をつけたくなるという点で、これは「ましな映画」なのだろう。私は原作は読んでいないので、その比較はできないが…
 全身整形を受けて美しくなったモデルが主人公。彼女にそこまでさせたのは何なのか、彼女が「ママ」と呼ぶ社長にそこまで彼女に肩入れさせたのは何なのかがハッキリしない以上、主人公に共感したり感情移入したりするのは難しい。だから、心情がどうのこうのと言うより、「見せもの」として面白いか、という点で見た。
 主役のりりこを演じる沢尻エリカのヌードが話題だったと思うが、もちろんそれだけでは見せ場は続かない。りりこの我が儘に周りの人が振り回されるのが面白いかというと、そこまで周りの人を巻き込む魅力がりりこにあるのか、という点がちょっと納得いかない。ある意味、みんなオーバーアクトみたいな映画なので、それを楽しめばいいじゃないと言われるかもしれないが、それだけではもたない。
 蜷川実花の写真集を好きな人が見たら、楽しいのだろうか。彼女の写真の色彩をそのままスクリーンに乗せた感じ。それを味わいたい人には、これ見よがしなスローモーションも心地よいのかもしれない。
 どうしても気になるのは、場面のつなぎ役というか進行役のように出てくる、オシャレ好き・芸能ニュース好きな女子高生たち。彼女たちの中にもりりこがいる、というようなセリフがあるにもかかわらず、作り手側が何となく一段低い者として女子高生たちを見ているような扱い方が気になる。個々の名前を持たない、集団としての彼女たち。映画の作り手たちにとっては、彼女たちは、自分たちの提案する「カワイイ」ものを支持してくれる消費者でしかないように見える。であれば、りりこと彼女たちはどう違うのか、もっと鋭く説明してくれればいいのに。
 しかし、見かけを派手にして、力のある俳優さんを使い、話題を作れば人は呼べる、という例を見せられたような気はした。  

Posted by mc1479 at 06:47Comments(0)TrackBack(0)
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